笑えるエピソードシリーズ

おじいちゃんのスマホゲーム

ある日、孫のタクヤがリビングでスマホゲームをしていると、おじいちゃんがやってきた。

「おっ、タクヤ、何やってるんだ?」
おじいちゃんが興味津々で画面をのぞきこむ。

「これね、モンスターを倒して冒険するゲームだよ!」とタクヤが説明する。
おじいちゃんは、目を丸くしながら「おお、そんなすごいゲームがあるのか! 昔はメンコか竹とんぼくらいしか遊び道具がなかったもんだ…」と感心している。

少ししてから、おじいちゃんが「ちょっとやらせてみてくれ」と言い出した。
タクヤは「いいよ!」とスマホを渡し、画面の操作を教え始める。

おじいちゃん、指を震わせながら画面をタップするが、なかなかうまくいかない。「おや、このモンスター全然動かんのう」と苦戦している。

タクヤが笑いながら「それ、モンスターじゃなくて、背景の岩を叩いてるよ!」とツッコむ。

おじいちゃんは「なにっ! これが岩!? そりゃあ倒れんはずだわ!」と大爆笑。
二人はしばらく笑い転げた。

おじいちゃんがようやく落ち着いて「昔はこんなに速いもんはなかったからなぁ…これからは頭のトレーニングにもなるかもしれん」とつぶやくと、タクヤが「じゃあ毎日一緒にプレイしようか!」と提案した。

それ以来、おじいちゃんは毎日少しずつゲームを練習し始めた。しかし、タクヤがゲームをクリアする頃には、おじいちゃんは相変わらず岩を叩いていた。

ある日、タクヤが学校から帰ってくると、リビングでおじいちゃんが一人でスマホゲームをプレイしているのを見つけた。

「おじいちゃん、また岩叩いてるの?」タクヤがからかうように声をかける。

「いやいや、今日はちゃんとモンスターに挑んでおるぞ!」と、おじいちゃんは自信満々。画面をよく見ると、確かにモンスターが動いている…けど、なぜかおじいちゃんのキャラクターは、モンスターから逃げ回っているだけだった。

「おじいちゃん、それ逃げてるだけじゃん!」タクヤは笑いながら言った。
「何を言うか、戦略じゃ!」とおじいちゃんは胸を張る。「戦わずして勝つ! 逃げてればそのうちモンスターも飽きるじゃろう!」

タクヤはお腹を抱えて笑い出す。「そんなこと聞いたことないよ! でも…おじいちゃん、もしかしてそのうち本当にモンスターがあきらめるんじゃない?」

「だろう? 頭を使ってるんだよ。ほれ、孫にはまだまだ負けんぞ!」とおじいちゃんは、やたら得意気。

その後もおじいちゃんは、逃げる「戦略」をしばらく続けていたが、やはりモンスターはあきらめず、ついにおじいちゃんのキャラクターがやられてしまった。

「なんじゃこりゃ! ワシの作戦が破れたとは…」とおじいちゃんは驚愕の表情。

タクヤは「やっぱりね、攻撃しないと勝てないんだよ」と言ってスマホを受け取り、「こうやって…こうやって…」と説明しながらあっという間にモンスターを倒してみせた。

「ふむ…やはり若い者にはかなわんな」と、おじいちゃんはしょんぼりした様子でつぶやいた。

しかし、次の瞬間、「よし! 明日からは真剣に攻める作戦を考える!」と突然やる気を取り戻した。
タクヤは驚きつつも「おじいちゃん、いいね! じゃあ、次のボスも一緒に倒そうよ!」と言って、また二人で一緒に笑いながらゲームを楽しんだ。

その後、おじいちゃんは毎日タクヤにアドバイスをもらいながら少しずつ上達していき、ついにはタクヤも驚くほどの腕前に。だけど、時々おじいちゃんはこっそり「逃げる戦略」に戻して、孫を笑わせることも忘れなかった。