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住宅の断熱

住宅の断熱性能において、スタイロフォーム(押出法ポリスチレンフォーム)とアルミ断熱シートには異なる特徴があり、どちらが高性能かは用途や目的によって変わります。

Contents

スタイロフォームの特徴

  • 断熱性: 押出法ポリスチレンフォームは、気泡に空気を閉じ込める構造で高い断熱性を持ち、特に寒冷地や断熱が求められる壁、床、天井に効果的です。
  • 厚みと強度: 厚みがあり強度もあるため、断熱材として使いやすく、構造材の補強も期待できます。
  • 耐久性: 耐久性が高く、湿気に強いのも特徴です。
  • 用途: 主に壁や床の断熱材として使われ、厚さに応じて断熱性能が向上します。

アルミ断熱シートの特徴

  • 放射熱の反射: アルミの特性を生かし、主に放射熱(遠赤外線)の反射が得意です。そのため、屋根や外壁など外部からの熱を遮断する目的で使われます。
  • 薄くて軽量: 薄くて軽量で取り扱いが簡単ですが、単体での断熱性能はそれほど高くありません。
  • 他の断熱材と組み合わせて使うことが多い: アルミシートだけでは断熱効果が不十分なため、スタイロフォームやグラスウールなどの断熱材と組み合わせて用いることで、断熱性能が向上します。

性能の比較と適材適所

  • スタイロフォームは空気の層を利用しているため、厚みを確保できれば高い断熱性能を持ちます。寒冷地の壁や床断熱に適しています。
  • アルミ断熱シートは放射熱の反射に特化しているため、スタイロフォームと比べると断熱性は劣りますが、夏場の冷房効率向上や屋根の断熱補助に有効です。

まとめ

冷暖房効率の高い住宅を目指す場合、スタイロフォームを主要断熱材として用い、必要に応じてアルミ断熱シートを補助的に使用するのが一般的な効果的な組み合わせです。

住宅断熱で最も有効な方法は、高い熱抵抗値(R値)を持つ断熱材を適切な厚みで用いることです。また、断熱材の性能だけでなく、設置の質や建物全体の断熱性能も重要です。

1. 熱抵抗値(R値)とは

  • R値は材料の熱抵抗性を示す指標で、値が高いほど断熱効果が高くなります。
  • R値の計算式:R=厚さ熱伝導率R = \frac{\text{厚さ}}{\text{熱伝導率}}

例えば、厚さ5cmの断熱材で熱伝導率が0.035 W/(m・K)であれば、R値は R=0.050.035=1.43R = \frac{0.05}{0.035} = 1.43 となります。

2. 代表的な断熱材の種類と性能比較

断熱材 熱伝導率(W/m・K) R値(10cmあたり) 特徴
高性能グラスウール 0.033 – 0.040 約2.5 – 3.0 価格が安く、耐火性がある
押出法ポリスチレンフォーム (スタイロフォーム) 0.028 – 0.035 約3.0 – 3.6 水に強く、施工が簡単
硬質ウレタンフォーム 0.020 – 0.024 約4.0 – 5.0 非常に高い断熱性能
セルロースファイバー 0.040 – 0.045 約2.2 – 2.5 防音性能が高い
ロックウール 0.038 – 0.045 約2.2 – 2.6 防火性が高く、吸音効果もある
真空断熱パネル 0.005 – 0.010 約10 – 20(大幅に優秀) 非常に高価で施工が難しい

3. 最も有効な断熱材の選択

① 硬質ウレタンフォーム(R値:4.0-5.0)

硬質ウレタンフォームは熱伝導率が低いため、薄くても高い断熱性を発揮します。特に外断熱や内断熱に適しており、湿気に強いのも利点です。ただし、耐火性にはやや劣りますので、施工場所によっては防火対策が必要です。

② 真空断熱パネル(R値:10-20)

真空断熱パネルは圧倒的に低い熱伝導率で、通常の断熱材と比べ10倍以上の断熱性を誇ります。住宅の外壁や床に用いることで非常に高い断熱性が得られますが、コストが非常に高く、施工が難しいため、部分的な使用が推奨されます。

③ 高性能グラスウール(R値:2.5-3.0)

グラスウールは安価であり、比較的高い断熱性能を持ちます。価格を抑えつつ断熱効果を高めたい場合に適しており、また防火性もあるため、天井や壁に多く使われます。

4. 効果的な断熱構造の例

一般的な住宅で理想的な断熱性能を達成するためには、複数の断熱材を適材適所に組み合わせると効果的です。

  • 壁断熱:厚さ10cmの硬質ウレタンフォーム(R値約4.0)やスタイロフォーム(R値約3.6)で覆い、外部からの熱の出入りを抑えます。
  • 天井断熱:天井に高性能グラスウール(R値約2.5)を15〜20cm入れることで、熱の上昇による損失を防ぎます。
  • 床断熱:寒冷地ではスタイロフォームや真空断熱パネルを床下に設置し、熱の流出を防ぎます。

5. 数値の具体例

例えば、北海道など寒冷地の壁断熱に10cmの硬質ウレタンフォーム(R値4.0)を使用すると、外気温が-10℃で室内温度20℃の場合、内外の温度差を保ちながら熱損失を大幅に抑えられます。

結論として、住宅断熱で最も有効な方法は、コストを考慮しつつR値の高い断熱材(硬質ウレタンフォームや真空断熱パネルなど)を適切に組み合わせて施工することです。