6. 利用可能性ヒューリスティック (Availability Heuristic)
人は、頭の中で思い浮かべやすい情報に基づいて判断する傾向があります。具体的な事例や最近の出来事に基づいて、全体のリスクや確率を過大評価・過小評価してしまいます。
- 例: ニュースで飛行機事故をよく見た後、その発生頻度は実際には非常に低いにもかかわらず、「飛行機は危険だ」と感じてしまうことがあります。
7. ステレオタイプ (Stereotyping)
特定の集団や個人に対して、一般化された固定観念に基づいて判断を下す傾向です。個々の状況や特徴を無視して、集団全体に対する先入観を適用します。
- 例: 特定の職業(例: エンジニアは無口だ、芸術家は感受性が豊かだ)に対して固定観念を持つことで、その職業に就いている人を実際の性格や能力に基づかず判断することがあります。
8. フレーミング効果 (Framing Effect)
同じ情報でも、提示の仕方(フレーム)によって異なる判断がなされることです。ポジティブな表現とネガティブな表現では、人々の反応が大きく変わります。
- 例: ある商品の説明で、「この商品は90%の顧客が満足しています」と言うと、ポジティブに捉えられやすいですが、「10%の顧客が不満を持っています」と表現すると、同じ事実であってもネガティブな印象を与える可能性があります。
9. バンドワゴン効果 (Bandwagon Effect)
多数派の意見や行動に追随したくなる心理的傾向です。多くの人がやっていることに賛同したり、参加したりすることで、自分の判断が正しいと信じ込むことがあります。
- 例: 流行している商品やファッションを、自分自身で本当に好きかどうか考える前に、他の人が使っているからという理由で購入してしまうことがあります。
10. 自己奉仕バイアス (Self-Serving Bias)
自分の成功は自分の能力や努力の結果であると考え、失敗は外部の要因のせいにする傾向です。このバイアスは自尊心を保つために働くことが多いです。
- 例: 試験に合格すると「自分が一生懸命勉強したからだ」と考えるが、試験に落ちると「問題が難しすぎた」や「先生の教え方が悪かった」と他の要因を責めがちになります。
11. サンクコスト効果 (Sunk Cost Fallacy)
すでに費やした時間やお金、労力などを考慮して、合理的な判断ができなくなることです。費やした資源を取り戻そうとするため、非効率的な行動を取り続けてしまう傾向があります。
- 例: 映画がつまらないと感じても、すでにお金を払ったからといって、最後まで見続けることがあります。合理的には、途中でやめて他のことに時間を使った方が良いのですが、過去に支払ったコストを無駄にしたくないという心理が働きます。
12. ハロー効果 (Halo Effect)
一つの特性が強く印象に残り、その人全体や他の特性までポジティブに評価してしまうことです。
- 例: 見た目が良い人を、性格も良い、賢い、能力が高いなど、他の特性まで過大評価することがあります。
これらの認知バイアスは、私たちの思考や意思決定のプロセスにしばしば影響を与え、非合理的な判断をもたらすことがあります。バイアスを認識し、それに注意することで、より適切で合理的な意思決定を行うことが可能になります。